スタッフブログ

『産後ケア』 助けてもらったのは私でした

Date.
2016.12.13
Category.
雑感・その他


    3年前、韓国の「ラ・マドレ」を視察、2年前、台湾の産後ケアを視察しました。近隣のアジア諸国では一般的な「宿泊型産後施設」は、日本ではまだ馴染みが少なく、その当時は報告をまとめながら文化の違いを感じていました。そして、この時点では当院が取り組む産後ケアはまだ漠然としていました。

今年に入り経営コンサルタントとの勉強会を重ね、4月には栃木県の産後院を訪問しました。こちらの施設では「回復」「母性」「自立」と三つのテーマを掲げ取り組んでいます。おっぱいのケア・心のケア・体のケアに加えパパの心のケアも行っているとのことでした。

   少子化・核家族化が進んでいる日本では、身近に子育てを見たり経験することなく、妊娠・出産を経験し、産後の不安を抱えるお母さんが多くいます。また、親世代も仕事をしていて休みが取りづらかったり、親の介護でそれどころではなく、お産後の面倒をゆっくり見てあげることができなかったりします。また、自分の子育ての時とは変化している現状に戸惑うこともあるでしょう。産後のお母さんが心身共に疲れてしまわないように、身体を休める場と心を休める場があるだけで前向きに子供と向き合うことができると思います。では、そのサポートを誰がするのか?産後ケアを学びながら、産後の過ごし方の大切さを知れば知るほど、娘(息子の嫁)の帰省分娩をうれしく思う一方で一抹の不安がつきまといました。

 

    2016年が明けてまもなく息子夫婦から妊娠の報告を受けました。「体調のこと分娩場所のこといろいろ相談にのって欲しい」と息子からの連絡を受け、娘の想いを尊重したいと思いました。産前休暇を早めにとり、お盆に札幌から帰省し長野での生活が始まりました。お陰様で妊婦健診も順調に経過。食事に気を付け、運動も適度に行い体重増加も理想的でした。

  そして393日。いよいよその時はきました。前駆陣痛は数日前からありましたが、本格的な陣痛が来てから分娩までは早かったです。頑張り屋で、我慢強く、それでいて冷静で、息子の立会いを望んでいましたが間に合わず、代わりに私が立会わせてもらいました。満足のいく「いいお産」が出来たと娘も私も思います。

陣痛の最中、「板倉さんを選んでよかった!!」の娘の言葉がどんなにかうれしく、母子ともに無事であったことに安堵の思いでした。

 

さあ、ここからが育児のスタートです。IMG_0655.JPG

出産後身体に起きる変化や不調。個人差はあれ、ほとんどのお母さんが経験します。昼夜関係なく授乳が始まり、入院中はたくさんの指導が日々行われます。産後のホルモンバランスの乱れもあったようですが、「言葉にして伝えますね」と娘の方から言ってきてくれまいた。

できるだけ一緒にいてサポートしてあげたい思いと、なかなか休めない仕事。正直、私の中では一番苦しかった時でした。

そんな折、11月から始まる産後ケアのモニターの話を頂きました。

娘を見ていて、退院して2週間頃には生活のリズムもなんとなくできてきたように感じていたので、いただいたモニターの話も無理して利用することはないと思っていました。娘はというと「今夜は授乳で眠れなくても、明日産後ケアがあるから休める」「内村さんにいろいろ聞いてみよう」などと、今抱えている不安と体の疲れを癒す産後ケアの利用を楽しみにしていました。

私はというと、大人だけの生活から赤ちゃん中心の生活に変わり、体力面でも不安を感じながらも、娘と話しをする時間を大切にしてきました。娘は私の子育ての事をよく聞いてきました。そのことを話すことが私も楽しく、夜の授乳につき合ったものです。ちょっと寝不足の朝も、産後ケアを利用しているというだけで精神的な面での安心がありました。

帰省してくるまではよくわからない不安と戦っていた私。「案ずるより・・」とはいうけれど、何とかなりました。その陰には「産後ケア」の利用が大きかったと思います。スタートしたばかりという事もあり、携わるスタッフも一生懸命でした。「○○したい」を叶えてくれた場所。産後ケアは出産したお母さんが笑顔で子育てできるサポートをするだけでなく、その家族を巻き込んでサポートすることを身をもって感じることが出来ました。

    1カ月健診も母子ともに順調にすみ、息子の待つ札幌へ帰省する日が近づいてきたころ、悲しい思いと淋しい思いと達成感と、たくさんの感情が交錯しました。3か月も一緒にいると別れは辛いです。それでも一日でも早く息子の元に届けたい。11月中旬、無事家族3人の生活をスタートさせることが出来ました。愛おしそうに孫を抱き優しい眼差しで顔を覗き込む息子の姿にちょっと安心した母です。いっぱい抱っこしてあげて。いっぱいお話してあげて。両親の愛情をたくさん注いでね。

 妊娠~出産~1か月健診まで。

産婦人科に勤務して19年目。自分の孫の誕生の瞬間に立ち会えたこと、そして(息子の嫁)娘との生活。こんな日が来るとは思いもしませんでした。私も主人も今は「ホッ」としています。そして大切な嫁を私たちに預けてくれた息子と、頼りない親だけれど頼ってくれた娘に、すばらしい経験をさせてもらったことを感謝しています。

「育児の良いスタートがきれました!」。この娘の言葉で私の産前産後サポートに終止符を打つことができました。「夢」のような日々は現実で私の脳裏にたくさんの感動を残して・・・。

「ママに笑顔を」~で始まった当院の産後ケア事業。

ママが笑顔だと家族も笑顔になります。甘えていいんです。息抜きしていいんです。一人で悩まないで・・・。頑張りすぎないで・・・。スタジオ・ボイトの産後ケアに足を運んでください。やさしさが両手を広げて待っています。DSCN2232.JPG

投稿者:医事総務課 丸山 絹子
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