『2021クリニックミッションを考える』-「PlanB」を作り、備えよう!
- Date.
- 2021.01.20
今回は2021年のクリニックミッションについて説明します。
2020年新型コロナウイルスのパンデミックは私たちの生活を一変させました。家庭でも職場でも否応なく感染対策を迫られました。当院でも「何としても院内感染は避けたい」と考え、入院面会の制限、待合入室者数の制限、産前産後ヨガ・ビクス・ベビーマッサージ教室の中止など様々な対策をとりました。このようにまず早急に対応しなければならない対応計画が「PlanA」になります。「PlanA」はすでにほとんどすべての会社、店舗、学校、などで実行されているはずです。一方「PlanB」は今後5年を見据えた中期的な行動計画のことです。いわゆる「with コロナ」の行動指針ということになります。
次になぜ「PlanB」が重要なのか、という点についてお話します。
現在のところコロナウイルス感染の第3波が猛威を振るっており、いつ感染が収束するかのめどが立っていません。
1918年発生したスペイン風邪(新型インフルエンザ)のパンデミックでは完全収束に約4年かかったようです。当時の日本の人口5500万人に対し約2380万人(人口比約43%)が感染し、約39万人(人口比約0.7%)が死亡したとされています。現代に生きる私たちは、消毒やワクチン、治療薬などの恩恵が期待できるため、スペイン風邪より早く今のパンデミックを収束できるかもしれません。ですが一方でグローバル化した現代では人の往来を制限する難ししさがあります。いずれにしても「備えあれば憂いなし」です。長期戦を視野に入れ覚悟を持って準備しておけば、事態が予想より悪くなった場合でも慌てずに対応できます。医療機関はほかの企業などと比べてどうしても眼の前の感染対策に追われてしまうため、中長期的視野に立てていないのが現状ではないかと思います。だからこそ1人1人が「PlanB」を意識し、行動することが大切だと考えます。
「PlanA」は基本的には緊急避難的な計画のため、今まで行っていたことの制限や中止といった対策が中心でした。
私たちのクリニックにとって最優先事項は「母子ともに安全なお産をサポートすること」です。ですが、それだけでは不十分です。コロナウイルス感染が蔓延するなか、県外に住む実家のサポートが受けにくかったり、友人や知人との交流も少なくなっています。妊産褥婦さんが孤立化していることは深刻な問題で、待ったなしの対応が必要と考えます。 当院で実施していた産前産後ヨガ・ビクスやベビーマッサージの教室では、体を動かしてストレスを発散できたり、お母さん同士がおしゃべりをして「あれこれ悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」とちょっと安心できたりしていたのではないか、と想像しています。現在の状況下ではヨガ・ビクスやベビーマッサージの教室の再開のめどが立っていません。だからこそ今までの教室にとって代わるような「お母さん」がちょっとほっとできたり、ちょっとワクワクできるような企画をつくれたらと思っています。「PlanB」は持久戦での戦略です。長期間の我慢には無理があります。現場レベルで「PlanB」を作るにあたっては、ぜひ妊産婦さん目線で、前向きな案を検討してください。 2021年が妊産婦さん、患者さん、スタッフ、一人ひとりにとって少しでも良い年になるように、前向きな「PlanB」をつくり、期限をつけてスピーディに行動に移しましょう!
最後にノーマン・ビンセント・ピール(アメリカ人、牧師)の言葉を紹介して終わりたいと思います。
「目の前の環境がどんなものであっても、それほど重要ではない。もっと重要なのは、その現実に対する私たちの考え方attitudeだ。なぜなら、その考え方がポジティブであれば現実が変わるから。」